異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「拠点が判った、と言ったな?」
バルドが訊ねただけなのに、レヤーはビクッと身体を揺らす。うん……ハゲ頭の原因だから仕方ないよね。
「は、はい。おそらく3日前のあの騒動の際、私があの霧に触れた影響だと思います」
レヤーの話にあった通りに、彼は3日前の霧で酔っ払いと化してた。あの霧は男性を操り女性を排除しようとする。そんな不可解な影響を及ぼしていた。
普通なら体調を悪化させるだろうけど、レヤーは神力があるしロゼッタさんはライネス皇子の腕輪があって。あたしは水瀬の巫女だったから、何とか完全な支配は免れた。
その際、どうやら【闇】の悪意がそれぞれの身体に根付こうとしたけれど。あたしが浄化させたお陰でそれは消滅したはずだけど。どうやら、神力があるレヤーには【闇】の一部が留まり残ってしまったらしかった。
けれど、彼は敢えてそれを利用し情報を得ることにしたらしい。それでああいう影響を受けたわけだけど、ヒスイが祓ってくれてひと安心。
「どうやら、拠点は海沿いにありそうです。霧を発生させるには確かに水が必要不可欠ですもんね」
「ああ……そういえばセイレム王国の時も変な霧が湖から広がってたよね」
セイレム王国では王宮が湖のそばにあった。その時の霧も湖沿いに広がってた。ならば、レヤーの得た情報はあながち間違ってないということだ。
《そうじゃな。あの時は水の気配が強かった》
セイレム王国の霧はヒスイが身体を張って浄化しなきゃ、きっともっと悲惨な状態になってたに違いない。それを思うと、つくづく彼女もすごい力があるんだなって思う。