異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
アスカ妃はわかりやすく話を纏めてくださった。
「ハッキリ言えば、皇后はわらわにいろいろひっかぶせてきおった。自らの悪事を“アスカ妃のせい”だとな」
「それで、どうして否定なさらなかったのですか? 悪事に手を染めている犯人が判っていたのなら……」
あたしは当然の疑問をアスカ妃にぶつけた。だって、アイカさんと皇后陛下が母娘で悪事に加担していたなら、彼女達を止める為にも早く真相を明らかにして捕まえるなり対処のしようはあったはず。その方が被害が少なく済んだ……そう思ったのだけれど。
「そう思うのは当然だろうし、その方が簡単に解決すると誰もが解る。しかし、無理だったのだよ」
あたしの思考を中断させたのは皇帝陛下で、彼は渋面のまま顎に手を当てて唇を引き結ぶ。
一度、沈黙が落ちる。誰もが口をつぐみ周囲の出方を窺うような、妙な緊張感が漂って。
どうやらよほどの事情が皆の口を重くさせているらしくて、これはこちらから出るべきか、とあたしは口を開いた。
「……それは、なぜでしょう?よほどの事情でも?」
「ああ、確かにな」
はぁ、と皇帝陛下は大きなため息を着いた。
「……皇后の兄が今の評議長……と言えばわかりやすいか?」
「え……」