異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
そういえば、評議会は初代皇帝の夫となった秋人おじさんが設立したもので。おじさんの最終的な身分は評議長だった。
それ以来評議長は代々皇族に関わりがある人物が務めていて、今の評議長は確か13代目。一度就任すれば、不信任が議決されるまで終身務めることとなる。
それはミス·フレイルのスパルタ式お妃教育で知った知識。彼女に感謝しつつ、影響力の強い評議長が後ろ楯にあるならば、皇后陛下の立后も彼女の不祥事の隠蔽もお手の物というのが納得出来た。
そして、次期皇太子との呼び声も高いバルドと評価を二分する、皇后陛下のご子息ライネス皇子のことも。
評議長ならば血縁者である実の甥が次期皇太子、ゆくゆくは皇帝になれば国内の影響力を完全に手中にしたも同然。
そうなれば、ますます評議長と皇后陛下、そしてその一族が幅を利かせて専横を極めるだろう。
となれば、最悪な未来しか思い浮かばない。
我が物顔で国政を牛耳る一族が出た国はろくなことにならなかった。そんなのは古今東西いろんな国の歴史が証明してる。
まったく無関係な国で何の力もない自分なら、どうしようもないと突っぱねたかもしれない。
けれど、ここは秋人おじさんが生きた国。お母さんの生まれ故郷。
そして、何より。
セリナやセリス王子やハルトにユズ。ミス·フレイルやロゼッタさんやアスカ妃や他にもたくさん。何よりもバルド……最愛の人がいて、あたしもこの地でこの世界で生きていく。
だから、あたしは自分の意思で決めた。
このことで自分でできることがあるなら、頑張ってみようと。