異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第41関門~あなただったの
『ナゴム様、セイレスティア王国よりの密使が参りました。お会いになりますか?』
謁見室から部屋に戻るなり、ミス·フレイルがそう耳打ちしてきた。
セイレスティア王国の密使…… 今この時に?と一瞬疑問を抱いたけれど。そういえば、ユズが情報を集めるのだと約束してくれたのを思い出した。
帝都の地下深くに封印された古代兵器に関して、何故か帝国ではほとんど情報が手に入らなかった。むしろ他国に居た方が色々と知ることが出来た、という不自然な状態。
情報統制をしていたのはかなりの地位にいた人だ、と予想は着けていたのだけど。それがまさか、皇后陛下やその兄である評議長だとは想像すらできなかった。
道理でああまで徹底的に規制できたはずだ。皇帝陛下すら太刀打ちできなかった相手なのだから、国内では誰も止められやしない。
セイレスティアの王太子妃であるユズも、彼女なりに一生懸命情報を集めて届けてくれたんだろう。もしかすると既に知っていることばかりしれないけど、その心遣いを無駄にしたくなくて承諾した。
「お会いしましょう。こちらへ呼んでください」