異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「……皇后陛下への謁見は叶いそうですか?」

「はい」


ついでにと言ってはなんだけど、ミス·フレイルに確認をした。


「本日の御夕食にご招待したい……とのことです。女同士気楽にお話をされたいそうで」

「そこではおそらくアイカも同席するだろう」


ライネス皇子はきっぱりと「罠だな」と言い切った。


「俺のライバルでありバルド兄上の子を身ごもる水瀬の巫女。将来的に皇后になってもおかしくない身分。ライベルトの母上とまったく同じ状況だ。やつらは十中八九あんたを殺そうとするだろう」


実の母親と伯父なのに、淡々と“やつら”呼ばわりするライネス皇子はまったく私情を挟まない。血を分けた人たちなのに、動揺しないのかな? と思う。


「ナゴムが狙われるのは許せない! 何があってもわたしが守る!!」


ロゼッタさんが憤慨して拳を握りしめる。そのまま、ソファの背もたれを力任せに殴った。


「絶対、ナゴムは殺させない!」

「ああ、おまえが着いていれば大丈夫だろう。だから、俺の名前で招待客のリストに名前を加えておいた。頑張って巫女を護れ」


いきり立つロゼッタさんを好ましい瞳で見ていたライネス皇子は、ニヤリと彼女に不敵な笑顔を向ける。


「それに、俺も同席する。その席で母上たちにおまえとのことをお許し頂こう」


< 818 / 877 >

この作品をシェア

pagetop