異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「そうですか……」
ライベルトの決意の源が、忠誠心や義務感からではなかった。それはとても嬉しく心強いことだった。
人は、使命感があれば強くなるけれど。守るべき人が居ればもっと強くなれるのだから。
「それでは、遠慮なく使わせてもらうぞ。ライベルト」
「はい。どうぞ、何なりとご命令ください」
バルドもライベルトの決意を見抜いたらしく、皇子として弟に接した。
……これで、必要な人は揃った。
あとは、それぞれの戦いを始めるだけだ。
あたしは、晩餐と言う名前の戦いへ。
バルドは、【闇】の拠点と言える場所――評議長の別宅へ。
お城はライネス皇子とハルバード公爵が護ってくれるだろう。バルドはライベルトとともに自ら拠点に赴き、叩き潰す。
不安がない訳ではない。
けれど、ここで決着を着けないととんでもないことになる。
今まで散々好き勝手にし放題で他人を苦しめ、不幸を撒き散らしてきたやつら。これ以上野放しにする訳にはいかない。
国を混乱に陥れたやつらが世界を支配すると、どんな地獄が待っているのか。
あたしたちはレヤーやヒスイなどの必要なメンバーも呼ぶと、綿密な打ち合わせをして確認を済ませた。
……いよいよ、始まる。
終わらせるための、戦いが。
(お母さん……秋人おじさん……セリナ……みんな。あたしに力を貸してね)
三種の神器のひとつである勾玉のペンダントを、手のひらでギュッと握りしめた。