異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「……何だかすごいな」
「同感」
ロゼッタさんが驚くというよりも呆れた顔をしたから、他に聞こえない程度の小声で応じた。
見渡す限りの黄金。
それらを買うのは当然国庫からのお金。 国民が納めた貴重な税金を、こんな贅沢のために使う必要があるのかな?
あたしはまだまだ子どもだし、世間知らずな上に異世界の庶民。特権階級の意識は理解できない。
国家の威信や体裁のために、ある程度の豪華さは必要かもしれないけど、今ここにあるような華美さはどう考えても不必要。つまりは単なる贅沢に過ぎない。
皇后陛下が後宮の女主人になって20年は経つそうだから、どう考えても彼女の趣味嗜好が反映されてる。
まだ妃ですらないあたしが皇后陛下に意見できる立場にはないことは承知してるし。ミス·フレイルの忠告通りに不興を買うかもしれないけど。
だからと言って、お会いできる数少ないチャンスを逃す訳にはいかない。
あたしができることは、頑張ってみんなの想いを伝えること位だ。
なんとか誤った行いを正していただけたら――。
甘いかもしれないけど。あたしは、力よりも言葉での解決を望んでた。