異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
晩餐会は本来ならば一旦控え室に入るものらしいけど、今夜は身内だからと多少くだけたものらしい。
上座には既にアスカ妃がいらっしゃって、視線を交わすと軽く頭を下げた。
主催者である皇后陛下は当然一番上座にいて、あたしは未婚者な上にまだ皇族でないから一番端は仕方ない……と思っていたのだけど。
なぜか、アスカ妃の向かい側……つまり。彼女より高い2番目の位置に誘導された。
どうして、まだ皇族でないのにアスカ妃よりも上の席に? そう疑問を抱えながら、初めてお会いする皇后陛下へ挨拶をと頭を下げる。
『はじめまして、わたしはナゴム·アキツキと申します。皇后陛下にお初にお目通り頂き、また今宵はお招きに与りまして光栄に存じます』
『ようこそお越しを。堅苦しい挨拶は抜きにして、お楽になさって。今宵は身内ばかりですもの。くつろいで楽しんでいってくださいませね』
初めて耳にする皇后陛下のお声は、まるで鈴を振るように可愛らしく透き通っていて。
悪女というイメージには程遠いのだけど。それはアイカさんにも言えること。
さっき見渡したところ、彼女はまだ来ていないようだった。
『和さん、どうぞ頭をおあげください。そんなに他人行儀になさることはありませんよ。あなたとはお身内になるのですから』
皇后陛下のお言葉に甘えて、彼女の顔を見るために視線を上げて――絶句しそうになった。