異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
セリスの話が真実でなかったように、この男の情報も真実とは言い切れない。
だけど……なぜだろう。
嘘八百を並べ立てるような男には見えなかった。
今も足と腕を組み、椅子にどっかりと座ってる尊大な態度。淡い金色の瞳は油断なく辺りの様子を窺い、こちらの動きも漏れなく掴んでる。
ざっくりと切られた髪の毛はざんばらで、全然オシャレじゃない。精悍な顔だちに日に焼けた太い腕には、細かな傷痕が幾つもある。おそらく、たくさんの修羅場を潜ってきたんだろう。全身からみなぎる自信が、あたしを挑発しているように思えてならない。
ズボンもシャツもブーツですら黒い。腰には大振りの剣が提げられているけれど、かなり使い込まれたものだと鞘の古さが教えてくれた。
――この男は、知ってる。何が真実で、何が嘘なのかを。
それは、直感だった。きっと本能に近い、半ば賭けのような感覚。
(この男についていけば、真実に近づける)
ごくり、と喉を鳴らす。心臓がドクドクとうるさい。汗をかいた手のひらを握りしめ、男を睨み付けた。
「そうね……だから、あたしは自分で確かめたい。何が嘘で、何が本当なのかを。だから、あたしはあんたに着いていく」