異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「女など……滅びてしまえ! わたくしの大事なものを奪うやつらなど」
皇后の絶望に呼応するように、龍の焔の勢いが増す。もはや後宮の建物など完全に破壊され、原型を留めるものなどない。スマガラ城は辛うじて強力な結界で護られてはいるものの――城下町まで被害は及んでいた。
事前に市民は避難させ術者に守護させてはいたけれども。やはり星を滅ぼすと言われただけある。“龍”の暴走と雷焔との力のぶつかり合いは、地形すら変えるほどの相当なダメージを与えてた。
けど、四龍の子である雷焔が本気になればこんなものでは済まない。龍だとて完全に覚醒はしていない。ヒスイの言う通りで、今ならあたしでも何とか出来る。
抑えられる今のうちにはと思うけれど。生じた疑惑に動揺していい考えが浮かばない。
《まさか……マリールイズ様は……実のお兄様と》
まさか、そんなはずは……と否定したい気持ちで心話でヒスイに問いかける。けれど……ヒスイは現実を肯定した。
《そうじゃ。マリィは……兄のラインハルトと閨を共にした》
つまり……実のきょうだいで男女の関係にあったのだ……と。
知りたくも無かった残酷な現実を、突き付けられた。