異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「和さん、明日は近くをお散歩されるんですよね?」
食堂で一緒にご飯を食べながらレヤーがそう訊いてきた。
「うん……明日はよろしくね」
「ナゴム、気持ちは判るけど無理はしちゃ駄目だよ」
隣に座ったロゼッタさんが心配そうにわたしを見る。やっぱり普通の身体じゃないからな……と少しだけ苦笑い。
「平気。レヤーの術でちゃんと護られるから……赤ちゃんが生まれたら外出は出来ないし、今のうちになるべく見ておきたいの」
「……そうか。なら、明日はわたしも行くから」
心配性なロゼッタさんは、武器の手入れをしておくと物騒な事を言いながら先に席を立った。
けれど……彼女がずっとそばにいてくれることは凄く心強い。わたしに兄弟が居るかはわからないけど、わたしは彼女を姉のように慕ってた。
ずっとずっと近くに居てくれたらいいなとは思うけれど。もしかすると彼女には帰るべき場所があるのかも。そうなれば……いつかは解放しなくては。
(ううん……レヤーだって同じだ。彼も居るべき場所があればいずれ帰らなきゃいけない……いつまでもわたしに構ってばかりいられないよね)
そうなれば、わたしはここに一人で生きなきゃいけない。
ううん……赤ちゃんが居るから二人。でも、子育ての知識なんて何一つ無いのに……ちゃんと育てることが出来るのかな?
(怖い……)
たった一人で子どもを育てる。今更ながら、恐怖感が湧いてきた。