異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第5関門~自分から、一歩を踏み出して。
「役立たずなど、足手まといになるだけだ」
バッサリ、まさに一刀両断であたしの言葉は切り捨てられた。聞く耳すら持たない、そんな頑なな男に、あたしは何としてもと食らいつく。
「そ、そんなのわからないじゃない! じ、自分の身は自分で守るし……食料だって自分で何とかする。手伝えというなら、何でも手伝うし。役立たずじゃないことを証明するから」
自分が役立たずと泣いておきながら、どの口が言うの? って感じだけど。あたしは必死に食い下がった。
「ナゴム、と言ったか。やめた方がいい。兄上は本当に容赦ない。一緒に行き、後悔してからでは遅い」
「そんなの、自分で決める!」
あたしはライベルトさんをキッと見て、声を張り上げた。
「この人は、少なくともあたしを利用しない。きっと、あたしが本物の巫女だとしても。偽物だとしても、態度を変えたりしない……そう思える。だから、信じて着いていく」
あたしは膜を抜けて男のもとへ歩み寄ると、深々と頭を下げた。
「お願いします……あたしは自分で考えて、自分で動きたい。あなたを利用することになるけど、今は他に方法がわからないから……どうか、連れていってください」