異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



お互い、ベッドの上で正座をして向き合う。美女はちょっと透けて浮いてるけど。


《わらわは、翡翠之御上(ひすいのみかみ)じゃ。長ったらしいならば、ヒスイでよいぞ》

「ヒスイ……?」

《そなたの持つ翡翠の勾玉が、わらわの本体の一つじゃ。わらわは宝玉を守護し司る御上ゆえ、この勾玉のみではあまり力を発現できぬが。人の世にある理(ことわり)程度ならば、問題なかろう》

「え~……っ……と」

《なんじゃ、ナゴム。もしやこのくらいの話もわからぬと?》

「ぶっちゃけ、そうです」


御上だの、理だの。ぜんっ、ぜん理解できません。たぶん、すごいことなんだと思うけど。


《嘆かわしいことじゃ。いつの間に大和の民は、わらわの存在を忘れてしもうたのか》

「あの~御上様って、要するに神様のことですか?」

《そこからか! まったく、御上は神でない。神を助けはするが、別の存在じゃ。物事を守護し、司る。天界(てんかい)では大神(たいしん)に仕えもするがな》

「はぁ……」


ってグチられましても。ちんぷんかんぷんでさっぱりですって。


《詳しくは、あの、れやーという鳥に訊くがよい。あやつは松柏(しょうはく)之御上と永い間融合しておった》


……レヤーって、やっぱりただの鳥じゃなかったのね。


「って、それはともかく。それじゃあヒスイ、あなたってずっとあたしのことを見てきたってことだよね?」

《退屈しのぎにはな。そなたが少女マンガの○○というきゃらに唇をつけて、“きゃっ! ふぁーすときすあげちゃった”と身悶えてたのも知っておるぞ》


「わ~! わ! わああっ!」


言うな、あたしの暗黒歴史をををっ!!
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