さよならさえ、嘘だというのなら
「七瀬」
驚いて名前を呼ぶけど
「しばらく眠らせる。自分のやった事のショックで混乱するだろう」
おじさんはそう言い
軽々と七瀬の身体を抱き上げ
自分の車の後部座席に乗せる。
そして
キャンプ用の小さな折り畳みのイスと、ブランケットを三組ずつ持って来た。
「話が長くなりそうだから」
いつもの軽い感じが戻り
智和おじさんは俺と凪子にイスとブランケットを渡し、須田海斗の身体をもう一度触る。
「おじさん?」
「なんだ?」
「須田海斗は生きてるの?」
「ん?うーん。今は生きてる」
「じゃぁ救急車呼んでよ。おじさん医者なら治療してよ」
「もう少し待ってろ」
智和おじさんは何件かその後電話をしてから時計を確認。
それから駐車場の方を見ているので
俺もそっちを目で追うと
遠くからまた車がやって来た。
いつも見かける町役場の車で、大人が3人車から降りてきた。
智和おじさんは車に向かってすぐ走り
ひとりの男性に頭をペコペコ下げ
残りの2人も
その男性をうやうやしく扱い
ずっと頭を下げていた。
おじさんは残りの2人に話をし、自分の車に乗せてる七瀬を気絶させたまま役場の車に移動させ、そのまま車はまた戻って町へ行く。
おじさんはカンスケさんを俺達の前に連れて来て、須田海斗の姿を確認させた。
「新鮮です。よろしくお願いします」
智和おじさんはカンスケさんにもう一度頭を下げた。