さよならさえ、嘘だというのなら
須田海斗は
ドロン山へ行き
行方不明。
須田凪子は
家に帰る事になり
引っ越しをして
俺達の町から去って行く。
あの後
凪子をおじさんの家である
町の診療所へ運んだ。
「一週間ほど体調が悪くなるけどすぐ慣れるから。こっちからプルミルを送るので週に2つは必ず飲む事。いいか?必ずだぞ」
智和おじさんにきつく言われて
凪子は診療所のベッドの中でうなずいた。
「五年離れろ」
おじさんは俺にそう言った。
「きっと彼女に会うと我慢できずにまた血を吸ってしまう。その若さで血の味を覚えたら、プルミルの効果はない。そうなると限度がわからず必ず彼女を殺してしまう。五年間は連絡を取らないで頑張れ」
「そんな事は……」
「俺がそうだった」
イケメン医師の独身の理由を知る。
智和おじさんは
俺みたいに
この町以外の子で
好きな女の人がいたけれど
自分で彼女の命を奪ってしまったのだろう。
そう言われて
俺は何も言えなくなり黙りこむ。
そして
凪子はこの町を去り
俺達は
離れた。