さよならさえ、嘘だというのなら
松本は一ヶ月後
元気に学校へやって来た。
パックリ割れて
骨まで見えた彼女の頬の傷は
ウソのように無くなっていた。
どこにもない
全然ない。
「ちょ……マジかよ」
じっくり顔を見ていたら
「やめてよ颯大!」って明るく答える。
でも
その明るさは
どこかぎこちなく
周りのみんなより
一歩先に大人になった笑顔だった。
俺と七瀬と松本は
先に真実を知った
でも
高校卒業まで
周りの友達には何も言わない
それが
この町のオキテだから。
七瀬は俺達三人の中では一番ダメージがあって、色々と大変だったけど家族のサポートで立ち直る。
自分だけじゃなくて
俺と松本の存在も大きかっただろう。
実際
俺もそうだから。
ウサギ殺しと松本の頬を斬りつけた事件は、松本の証言から須田海斗の仕業とみんなに公表する。
須田凪子は須田海斗を説得して
自分が犠牲になり
事件を起こさないようにしていたって……俺と松本と七瀬はみんなにそれも言っておいた。
全部悪いのは須田海斗
そして奴はドロン山に行って行方不明。
おしまい。