さよならさえ、嘘だというのなら
ほっそりとした身体は相変わらずだけど
薄いブルーのブラウスから伸びた手に傷はない。
彼女自身で付けた
沢山のむごたらしい細い傷は
プルミルのおかげで綺麗に消えていた。
ふんわりとしたスカートと笑顔が良く似合う
綺麗な女性になっていた。
綺麗だよ
可愛いよ
好きだよ
高1の時から少しは大人になったはずなのに
この三大ワードが
いまだ素直に言えない俺。
心の中ではいつも言ってるんだけど。
「行くか」
「うん。お先に失礼します」
凪子は笑顔を見せ
智和おじさんに挨拶をする。
「手を出すなよ颯大!」
嬉しそうに叫ぶおじさん。
手を出すなよって
俺
もう大人なんですけど。
プッとふくれる俺の顔を見て、凪子は笑って楽しんでいた。