さよならさえ、嘘だというのなら
大人しく
いつもひとり
話しかけられたら返事はするけど
人間嫌いなのか
特に男子とは目も合わせず
この暑いのに
ベストの下には半袖ではなく長袖のブラウス
暑さを顔に出さず
サラリと着こなしていた。
綺麗な顔は
うつむいている方が多い。
授業が終わると
須田海斗が隣のクラスから現れ
寄り道もせず
双子はピッタリ寄り添い
豪邸に帰って行く。
笑顔も見せず
静かに本を読み
退屈そうに生きている
いや
苦しそうに生きている
そんなイメージ。
そんな凪子を
ずっと目で追っている自分がいた。