さよならさえ、嘘だというのなら

「松本は須田海斗が好きなの?」

俺も負けずにそう聞くと
松本は恥ずかしそうに笑って

素直にうなずいた。

「たぶん……好きだよ。これも内緒だからね!」

照れながら怒る顔が
松本の表情の中で一番魅力的だった。

森ちゃん
この顔を雑誌に送りゃーいかったのに。
一発本選合格だ。

「言わないから」

「返事が軽いよ」

「だから他の男子の夢を壊す話はしないって」

「約束ね」

「りょーかい」

告白してスッキリしたのか
松本の笑顔は幸せに満ちていた。

「参考に聞くけど、やっぱ顔か?」

って聞いたら
松本は吹き出して笑う。

「顔なら颯大も負けないよ。柚木君も中田君もイケメンだし」

「頭か?」

それとも
あの隙のない
欠点のない
完璧なうさんくささが……って、まだ本気で信じられないのか俺は。

「賢いのもあるけど、なんてゆーか。都会的なんだよね」

「そこか。それは俺達には欠けてるわ」
うなりながらも正直に認めよう。

「話が楽しくて、女の子に魔法をかけたような、フワフワといい気持ちにさせてくれる」
うっとりとする松本

悪い薬でも飲ませれてないか?……って悪く言いたくなるのは、田舎の男子だから許して欲しい。

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