結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「ただいま。」

「ユウ…!!」

事務所から帰ってきたユウに、レナはたまらず抱き付いた。

「熱烈な出迎えだなぁ…。」

ユウは笑いながらレナを抱きしめた。

「何か、言われたの?」

「何かって?」

「…別れろとか…。」

不安そうにユウを見上げるレナの頭を大きな手で撫でながら、ユウは優しく笑う。

「大丈夫だよ、レナ。二人は真面目に付き合ってるのかって聞かれただけ。あと、騒ぎが収まるまでは目立たないように気を付けとけって。社長、リサさんと親しいから、リサさんの手前もあるし心配してたんだってさ。」

「ホント?」

「嘘ついてどうすんの。」

「良かった…。」

レナは心底ホッとしたように笑うと、ユウを抱きしめた。

「もう、ユウと離れたくないもん…。」

(こういうところ、ホントかわいいなぁ…。)

ユウはレナの額に優しく口付けると、レナをギュッと抱きしめる。

「それは、オレも同じだから。」

「うん…。」

二人は額をくっ付け合って微笑んだ。



翌日から、レナはユウの車で仕事に行くことになった。

駐車場が地下にあり、マンションの外へ出るのも車の方が目立たないので、普段は電車で通うレナも車で通勤することにしたのだ。

ユウが仕事に出掛ける時には、マネージャーが迎えに来ることになった。

人気と知名度が急激に上がり始めたので、そろそろ送迎をつけようと思っていたところだからちょうど良かったと、マネージャーは笑った。





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