結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
シンヤは指輪の代わりにダイヤのネックレスをマユに贈ったと言っていたが、レナはユウとお揃いのネックレスをしているから、ネックレスではない方がいいかも…とユウは考える。

「結婚してもずっとつけていてもらいたいので…邪魔にならずにシンプルでかわいらしいデザインのダイヤの指輪とか…ありますか?」

ユウが真面目な顔でそう言うと、店員は穏やかに微笑んでもう一度席を立った。

(指輪ひとつ選ぶだけでも大変だな…。)

再び店員がいくつかの指輪をトレイに乗せて戻って来ると、ユウはまた、あれこれと考えながら指輪をひとつずつ手に取る。

(あっ…これかわいいかも…。)

ユウは、真ん中にメインのダイヤが施され、周りに小さなダイヤがちりばめられた指輪を手に取る。

豪華に見えるのに、デザインはシンプルで嫌味がなく、レナの細くて長い指にとても似合いそうだとユウは思った。

「これにします。」

サイズを聞かれてもわからなかったユウは、指のサイズを計るサンプルのリングを貸してもらい、レナの右手の薬指と同じくらいのサイズを探した。

(これくらいかな…?)

「多分、これくらいじゃないかと…。」

差し出されたリングを見て、店員は羨ましそうに言った。

「まぁ…とても細くていらっしゃるんですね…羨ましいです。とてもキレイな手をしてらっしゃるんでしょうね。」

「…ハイ…。」

ユウが照れ臭そうに返事をすると、店員はそのサイズの指輪をショーケースの中から取り出し、丁寧に磨いてユウに見せる。

「では、こちらでよろしいですか?」

「ハイ。」

ケースに入れた指輪をラッピングしてもらい、カードで会計を済ませる。

「もしサイズが合わないようでしたら、お直しいたしますのでいつでもおっしゃって下さい。結婚指輪をお選びになる際は、是非お二人でお越し下さいね。お待ちしております。」

「どうも…。」

ユウは照れ臭そうに頭を下げると、指輪の入った小さな紙袋を、大事そうに抱えて店を後にした。

(レナ、喜んでくれるかな…?)



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