結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
そのまま家に帰ろうかと思ったユウだが、あちこちでクリスマスソングが流れているのに気付くと、付き合って初めてのクリスマスだから、何かプレゼントをしようかと考えた。

(何がいいかな…。)

洋服はリサの服が一番だと思い、プレゼントの候補から外すことにして他の物を探す。

(難しい…。)

何をプレゼントすればレナは喜んでくれるだろう?

思えば、幼い頃から一緒にいたのに、プレゼントと言う物をあまりしたことがないことにユウは気付く。

誕生日が同じ日の二人は、家で一緒にお祝いをするだけだったし、クリスマスも同じような感じで、プレゼントはテーマパークへ行った時に、指輪を贈り合ったのが初めてだった。

(考えてみたら、初めてのクリスマスプレゼントだ。)

ユウはたくさんの視線を感じながらも、あれこれと考えながらいくつもの店を回って、やっとの思いでプレゼントを決めて店を後にした。

ユウが選んだのは、腕時計だった。

これならきっと役に立つし、なによりレナに似合いそうなデザインの物が見つかって、ユウはホッとしながら家路を急いだ。

(クリスマスプレゼントはクリスマスに渡すとして、指輪はいつ渡そう?やっぱり、早い方がいいかな…。)


家に帰ると、先に帰っていたレナがキッチンで夕食の準備をしていた。

「おかえりユウ、遅かったね。」

「あ、うん。」

ユウはさりげなく自分の部屋に行くと、普段あまり使わない引き出しにクリスマスプレゼントの腕時計を隠した。

(問題はこれだ…。)

さりげなく自然に渡すのがいいのか、何かサプライズ的なことをした方がいいのか?

(いや…。サプライズとか、オレの柄でもないよな…。)

ユウは指輪の入った小さな紙袋を持って、少しドキドキしながらリビングへ向かった。

「もうすぐ御飯できるよ。」

「うん。」

(どうやって渡そう?)

ユウはソファーに座ってさりげなく紙袋をソファーの後ろに隠す。

(食事の後でいいかな…。ソファーでビール飲んでる時にでも、自然に渡そう…。)


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