結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
食事と入浴を終えると、ユウとレナはいつものようにソファーに並んで座りビールを飲む。

「リサがね、明日の夕方なら大丈夫だって。」

「あ、うん。」

ユウはドキドキしながらソファーの後ろに隠していた紙袋を手に取ると、隣に座っていたレナの膝の上に、そっと乗せた。

「ん?」

「開けてみて。」

レナは不思議そうに紙袋の中を覗き込むと、小さな箱を取り出し、ラッピングをほどいて箱を開けた。

「これって…。」

驚いてユウを見上げるレナの右手を取ると、ユウはその細い指に、そっと指輪をはめた。

「婚約指輪…。本当は左手の薬指にするらしいけど…結婚してもつけててもらえるように、右手のサイズにしたんだ。サイズ、合ってるかな?」

「うん…。ぴったりだよ。」

「良かった。気に入ってくれた?」

「うん…。」

レナはユウから贈られた指輪を見つめた後、幸せそうにユウを見て笑った。

「ありがとう…すごく嬉しい…。」

「改めて…レナ、オレのお嫁さんになって下さい。」

「ハイ…喜んで…。」

二人は微笑み合うと、そっと唇を重ねた。

(良かった…喜んでくれて…。)



翌日の夕方。

ユウとレナは二人そろってリサの職場を訪れた。

退院してから初めてリサに会うことや、今回はいつもと違って、大事な娘との結婚の了承を得るために挨拶に来たことが、ユウを緊張させていた。

(この間の騒動でレナと別れようとして、目一杯心配かけたばっかりだしな…。オマエみたいな男に娘はやらん!!とか言われたらどうしよう…。)

リサに会うのが怖くなるほど、ユウは緊張して落ち着かない。

「ユウ…どうしたの?」

緊張の面持ちのユウを見て、レナが不思議そうに尋ねる。

「いや…。すごい緊張する…。」

「大丈夫だよ。そんなに緊張しなくても。」

レナはユウの手をそっと握った。

「うん…。」

ユウもレナの手を握り返す。

握りしめたレナの右手の薬指には、夕べユウが贈った婚約指輪がはめられていた。

(オレはレナを一生愛して守って行くって決めたんだ。ここで怯む訳にはいかない。リサさんに安心してレナを任せてもらわないと…。)

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