結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
強引な突然のキスに、ユウは明らかに何かをごまかそうとしている、とレナは気付く。

ユウの腕と唇は、レナを捕らえてなかなか離そうとはしない。

(ユウ…一体、何が不安なの…?)

ユウの腕の中で、ユウの不安が少しでも和らげばと、レナはその背中に腕を回して抱きしめ、激しいキスに応えた。

(レナ…。)

自分のことを抱きしめてくれるレナを、ユウはキスをしたままその場に押し倒す。

(レナがオレだけのレナだってことを…もっと…もっと感じたい…。)

ユウはそっと唇を離すと、レナの耳元で切なげに呟いた。

「レナは…オレだけの、レナだよな?」

「そうだよ…。どうしたの?」

「レナが、オレだけのレナだって…もっと、感じさせて。」

レナの頭を両手で引き寄せるようにしながら、ユウはもう一度レナの唇を自分の唇で塞いだ。

「んっ…。」

いつもより強引で激しいキスに、レナが小さな声を上げると、ユウはキスをしながら、レナのパジャマのボタンを外す。

ユウは、レナの唇から首筋へと唇を這わせながら、吐息混じりに囁いた。

「レナ…愛してる…。」

「ユウ…、待って…。」

「いやだ…。今じゃなきゃ、いやだ…。」

「ユウ…何がそんなに不安なの…?」

「え…。」

ユウが驚いてレナの肩口から、うずめていた顔を上げると、レナは少し体を起こし、優しくユウの頬を両手で包んで、唇にキスをした。

「そんな不安そうな顔しないでよ…。私は、ユウのこと愛してるから、ユウと結婚するんだよ?そんなに私のこと…信じられない?」

「…そうじゃないよ…。レナを信じられない訳じゃないんだ…。ただ…。」

「何?ちゃんと話して。」

ユウはレナを強く抱きしめる。

「ユウ…。」

レナがユウの背中に腕を回して優しく抱きしめると、ユウは静かに口を開いた。

「レナ…オレのこと愛してるから結婚するって言ったよな…。」

「…うん、言ったよ。」

「じゃあ……前にあの人と結婚しようって決めたのも、愛してたから?」

「えっ…?!」

ユウからの思いがけない言葉にレナは驚いてユウの顔を見上げた。

「あの人も…須藤さんも、レナを愛してたから?」

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