結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「須藤さんと結婚するって決めて2週間後くらいに、ユウと再会して…。ユウは知らない女の子とキスしてたり、迫られたりしてたし…。私のことなんか、なんとも思ってないんだろうなって…。だから、ユウが誰と何をしてても私には関係ないって何度も言い聞かせて…なのにユウは急に昔みたいに優しくなったり、突然私と会いたいって言ったかと思えば、また他の子とベタベタしてたり…。そのくせ、自分の気持ちも何も言わずに、私の気持ちも聞かないで無理やりキスしたりするから…どうしていいのかわからなくなって…。もう、取材が終わればユウには会わないでニューヨークに行くつもりだったのに…打ち上げに行ったら、ユウはまた自分の気持ちもちゃんと言わずに、オレが行くなって言ったらどうする?って…ユウはズルイって思った。」

「…うん…。」

ユウは水割りを一口飲んで、レナを見つめた。

「あの時、オレがちゃんと、好きだから行くなって言ったら、レナはどうしてた?」

レナは静かに首を横に振る。

「わからないよ…。でも、多分…やっぱり私は、ニューヨークに行ったと思う。」

「どうして?」

「ユウを好きだって…信じたいって思ったけど…やっぱりまたどこかに…私の知らない他の誰かのところに行っちゃうんじゃないかと思うと怖かった…。」

「そっか…。」

「もうユウには会わないって…全部忘れようって思ってニューヨークに行ったのに、ユウのことが全然頭から離れなくて…。こんなにつらい思いするなら、会わなければ良かったのかもって思ってたけど…。」

レナは段ボール箱の中から須藤の写真集を取り出すと、あるページを開いてユウに手渡した。

「これ…。」

そこには、泣きながら微笑むレナの姿が写っていた。

「撮影中に、日本人スタッフの男の子がかけた音楽が`ALISON´の曲だったのね。もう聴くこともないと思ってたのに…ユウのギターの音を聴いたら…ユウのこといろいろ思い出しちゃって…気付いたら涙が流れて…もう一緒にはいられないけど、ユウに会えて本当に幸せだったと思って、笑ってた…。」


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