結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
ユウはレナの写真を静かに見つめる。

(あんなに傷付けたのに、レナはそんなふうに思ってくれてたんだ…。)

「須藤さんがね、私の写真を使うために画像のデータを見てる時に、私とユウが海辺で二人でふざけて撮った写真を見たんだって…。写真に写ってる私の顔が、すごく幸せそうに笑ってたって…。こんなに幸せそうに笑ったレナを見たことがないって、驚いたって。ユウの写真もあったから、“レナはずっと想って待ち続けた人に会えたんだなって思ったんだ”って言ってた…。だから、ユウのところに…自分のいるべき場所に帰れって、婚約の話もなかったことにして、私を送り出してくれたの…。」

「そうか…。」

ユウは不安でいっぱいだった胸の中が、温かくなるのを感じた。

「あの時、須藤さんが背中を押してくれなかったら、私は一生ユウを想いながら、自分にも須藤さんにも、ユウにも…嘘をついて生きてたと思う…。」

「うん…。」

「日本へ帰って空港でタクミくんに会って…強引にここに…ユウのところに連れて来られて、正直言うと、ホントはすごく怖かった…。」

「どうして?」

「ユウの気持ちもわからないのに…もう2度と来るなって言われてたのに、また来ちゃったし…私もユウに、大嫌いなんて言っちゃったし…だから、ユウに…もう嫌われたんじゃないかと思うと怖かった…。でも…これ以上嘘はつけないと思って…一緒にいたいって言ったら、ユウが好きだって…レナと一緒にいたいって言ってくれて、本当に嬉しかった…。」

ユウはレナの手をそっと握りしめた。

「オレもレナにはもう2度と会えないって思ってたけど、オレのところに戻って来てくれて、本当に嬉しかったよ。」

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