結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「あーもう!!レナ、めちゃくちゃ怯えてんじゃんか!!」

ユウはたまらずレナを引き寄せ、みんなの目からかばうように、自分の後ろに隠した。

「レナ、すげー人見知りで、たくさんの人に見られるのが怖いんだから!!みんな離れて!!」

「えーっ…ユウだけ、ズルい…。」

「そうだぞ、ユウ!!高梨さんの独り占め禁止!!」

「オレも高梨さんと付き合いたい!!」

「いや、オレは結婚したい!!」

「ユウ!!あきらめて身を引け!!」

(言いたい放題言いやがってー!!ヒロさんまで…!!)

ユウはやいやい騒ぐみんなに向かって叫んだ。

「ダメ!!レナはオレのレナだ!!誰にも渡さん!!」

言ってしまってから、ユウはハッとしてして耳まで真っ赤になった。

レナも、ユウの背中で真っ赤になっている。

「ユウ、かっこいいー!!」

「見せつけんなよ!!」

「早く結婚しないと本当に奪っちゃうぞ!!」

(なんだこれ?!オレ、はめられたのか?!)

「まぁ、確かにユウが奥さんにしたいって気持ちはわかるな…。」

「ヒロさん…奥さんに殴られますよ…?」

レナは、そっとユウの背中から顔を覗かせる。

「あの…?」

「あ、レナ…。おいで。」

ユウはレナの肩をそっと抱いて隣に立たせた。

「大丈夫だよ。ヒロさん、愛妻家だから。」

「そう…なの?」

「そうだよ。」

レナがおずおずとヒロの顔を見ると、ヒロはタバコに火をつけ、優しく笑った。

「ごめんな、調子に乗って。あんまりかわいかったんで、つい。」

「ええっ…。」

(ヒロさん…。まだ言うか…。)

「で、いつにする?」

「ハイ?!」

ヒロの言っている言葉の意味がわからず、ユウとレナはキョトンとしてヒロを見た。

「結婚式だよ。もちろん呼んでくれんだろ?」

「あっ…。」

「えっ?」

レナは何のことかと首をかしげる。

「この際だから、いつ入籍するかも決めちゃえよ、ユウ。」

トモがレナに酒の入ったグラスを手渡しながらユウの肩を叩く。

「ええっ…。」

(なんでみんなの前で?!)

「ほら、みんなスケジュールにユウの結婚式を組み込んどかないといけないだろ。それに事務所にだって言っとかないと。」

「あっ…。」

(そうだった!!)

「あの…ユウ?」

レナは状況が掴めず、ユウのシャツの裾をツンツンと引っ張る。

「どういうこと?今、決めるって…。」

「いや、その…。」

(あーもう、わけわかんねぇ!!)

思わずユウは、レナの手をギュッと握りしめ、レナの目をじっと見つめた。



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