結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
レナの仕事が終わった後、ユウはレナを職場まで迎えに行き、二人で一緒に直子との待ち合わせの場所へ向かった。

待ち合わせのホテルのレストランで、レナは直子の夫のテオに初めて対面した。

「レナちゃん、紹介するわね。夫のテオ。」

「ハジメマシテ、テオデス。」

テオはにこやかにレナに握手を求める。

「はじめまして、レナです。」

簡単な挨拶を終えると、4人で片言の日本語と英語を交えながら会話をし、ゆっくりとワインを飲みながら食事をした。


「それで、急に二人そろってどうしたの?観光?」

ユウが不思議そうに尋ねると、直子は笑った。

「言ったでしょう、日本に帰るって。」

「えっ?」

直子の言葉の意味がよくわからず首を傾げるユウに、直子は嬉しそうに言った。

「私たち、日本に住むことになったから。」

「えっ?!」

思いもよらぬ直子の言葉に、ユウとレナは驚いて顔を見合わせた。

「長かったけど、ドイツでの仕事も一段落ついたからね。また日本に戻ることにしたの。」

「テオさんは?」

「テオも、ずっと日本に住みたいって言ってたのよね。ユウが結婚するって言ったら、テオがユウたちの近くで暮らしたいって。」

「えっ?!」

「戸籍上は違っても、家族だからって。」

テオはニコニコと笑いながらユウを見ている。

「僕たちは親子ではないけれど、僕はユウを家族だと思ってるよ。直子の大事な息子だからね。ユウが素敵なお嫁さんをもらうって直子に聞いて、僕は近くで、君たちが家族になっていくのを見守りたいと思ったんだ。」

「家族…。」

ユウは、テオの言葉を聞きながら、結婚したら自分とレナも家族になるんだなと思った。

「新しい家族が増えるのも楽しみだね。」

テオはユウにウインクする。

「それは、まぁ…。そのうち?」

急にしどろもどろになるユウを見て、直子とテオはおかしそうに笑った。

「そんなわけだから、よろしくね。」

直子はレナの手を握り、柔らかく微笑んだ。

「レナちゃん、これからもユウをよろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いします…。」

レナが頭を下げると、直子とテオは幸せそうに笑った。


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