結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
翌日、レナはリサの職場を訪れた。

入籍と挙式の日取りが決まったことを報告するためだ。

リサは、アトリエでドレスを仕上げていた。

「3月14日ね。わかったわ。スケジュールを調整しておかないとね。」

「うん、お願いします。」

「ところで、場所は決まってるの?」

リサの言葉に、レナはハッとする。

「まだだった…。」

「これから予約できるかしら?この間のショーで提携した式場があるから、相談してみる?」

「式場?」

「素敵なチャペルがあるんですって。パーティーウエディングもやってるそうだから、一度話だけでも聞いてみたら?条件が合えば見学に行って、良かったら予約しなくちゃ。式場には私から連絡しておくから。」

「うん、行ってみようかな。」

どこか頼りない娘に、リサは少し安心したように柔らかく微笑んだ。

「まったく、二人とも肝心なとこが抜けてるわね。子供みたい。」

「おっしゃる通りです…。」

そんなことを言いながら、この言い回し、なんだかユウに似てる、とレナは思った。

(一緒にいると、いろいろ似てくる…?)

なんとなくくすぐったいような、照れ臭いような、不思議な感覚だった。



家に帰ると、レナはリサにもらったパンフレットをユウと一緒に見ながら、挙式とパーティーの相談をした。

「素敵なチャペルだね…。」

パンフレットを眺めながら、レナがうっとりと呟く。

「パーティーって、どんなことをすればいいのかな?」

ユウはパンフレットをめくりながら、思いを巡らせる。

「食事と…あとは…。」

「楽器とか機材、持ち込めるかな?」

「えっ?!」

「せっかくだから、演奏してもらおうよ。ユウのお兄ちゃんたちに。」

「お兄ちゃん?!」

レナの言葉に、ユウは不思議そうにしている。

「ユウは、ヒロさんの末っ子なんだって。」

「それ、ヒロさんが言ったの?」

「そうだよ。うちの末っ子を安心して任せられる、って言われた。」

「そうなんだ…。」

ユウは、ヒロにそんなふうに思ってもらっているのだと思うと、胸が温かくなるのを感じた。

「じゃあ…3人目のオヤジだ。」

「3人目?」

「オレのくそオヤジと、テオさんと、ヒロさん。オレ、オヤジが3人もいるのか。」

「くそオヤジ…?」

レナが不思議そうに尋ねる。

「レナに話してなかったな…。」


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