結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
家族になる日とバレンタイン
数日後の夕方、仕事が休みだったユウと、少し早めに仕事を終えたレナは、リサに紹介してもらった結婚式場に足を運んだ。

パンフレットで見るよりも、厳かで立派なチャペルに息を飲む。

「素敵だね…。」

「うん…。」

ステンドグラスから射す日差しの中で、こんなところで神様に誓えたら素敵だとレナは思う。

(ここで、リサさんの作ったウエディングドレスを着て歩くレナは…キレイだろうな…。)

ユウは、バージンロードを歩くレナの花嫁姿に思いを巡らせて目を細めた。


パーティースペースの見学をすると、担当者に楽器や機材を持ち込めるのか、食事はどんなメニューがあるのかなど、いくつか質問をした。

「3月14日は空いてますか?」

式場の担当者が、挙式のスケジュール帳を見ながら確認をする。

「ハイ、一枠だけございますね。お時間は16時から18時になります。」

「チャペルはどうですか?」

「そうですね…。ハイ、14時から15時までのお時間に空きがございますので、お式からパーティーの時間もあまり開かず、ちょうど良いかと思います。」

「ここにする?」

「そうだね。リサもこれから仕事でお世話になるみたいだし、いいかも。」

二人はこの式場で挙式とパーティーをすることに決めると、パーティーの内容を担当者と相談した。



式場を出ると、二人は車に乗り込み、夜の街を走りながら、誰を招待するかとか、どんなパーティーにしようかと楽しそうに相談した。

そしてユウは、レナを連れて、以前婚約指輪を買ったジュエリーショップへと向かった。

「何か買うものでもあるの?」

歩きながら、不思議そうに尋ねるレナに、ユウは優しく微笑む。

「大事な物を用意しておかないとな。」

「大事な物?」

ユウはレナの手を引き、ジュエリーショップへ足を踏み入れる。

時間が少し遅かったことから、店内の客はまばらだった。

「いらっしゃいませ。」

あの時の店員が、にこやかに頭を下げる。

「先日はどうも…。」

「お二人でお見えになったと言うことは…。」

店員が二人を見てニコッと笑う。

「結婚指輪です。」

結婚指輪と言う言葉に、レナは嬉しそうに笑った。

「さようでございますか。では、奥のお席へどうぞ。」


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