結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
車に乗り込むと、二人はたまらず笑い出す。

「御結婚おめでとうございますだって。」

「オレとレナ、夫婦になったんだな。」

「ふつつか者ですが、末長くよろしくお願いします、旦那様。」

レナはユウに頭を下げる。

「こちらこそ末長くよろしくお願いします、奥さん。」

ユウもレナに頭を下げる。

そして二人は顔を見合わせると、幸せそうに笑った。

「さぁ、行こうか、世界一かわいいオレの奥さん。」

「それは言い過ぎでしょ…?」

「そんなことないよ。本音だから。」

「ユウって、激甘…。」

「知らなかった?」

「知ってる…。でも、そういうとこも好き。」

満面の笑みで甘い会話をする二人を乗せた車は、軽快に街なかを走る。


「そろそろお昼だね。お腹空いた?」

「どこかで昼飯でも食うか。何がいい?」

「そうだねぇ…。ユウ、昨日は何食べた?」

「んーと…ビーフシチューとか、シーザーサラダとか…。」

「洋食屋さんみたいだね。」

「レナは?」

「煮込みハンバーグとポテトサラダ。リサの得意料理。」

「昔、一緒に食わせてもらったな。あれ、うまかった。レナも作れる?」

「うん。作れるよ。」

「じゃあ今度はレナが作ったの食べたい。」

「わかった。今度作るね。」

「そうやって、母親の味が受け継がれて行くのかなぁ…。」

「おふくろの味?」

「そう、それをレナも子供に食べさせてさ…。レナの料理が、うちの家族の大好きな味になるんだ。」

「さっきは気が早いって言ったのに…。」

「そうだった…。」

「でも、同じ物を一緒に食べて、一緒に寝て、起きて、笑ったり泣いたりしながら、家族になって行くんだね。」

「うん。オレとレナも、今日から家族。」

「そうだね。家族、だね。」

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