結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
シンヤの部屋に集まってから数日後。

ユウは再び渦中のひととなった。

またしても週刊誌にユウの記事が掲載されたのだ。

あの写真週刊誌と同じ出版社の発行する、ゴシップばかりを扱う低俗な女性週刊誌で、ユウの過去の女性遍歴が綴られていた。


“人気バンド`ALISON´のギタリスト・ユウの激しすぎる夜!!”


“何人もの女を食い散らかしてきた肉食男子”


“私は彼にヤリ捨てされた!!人気グラドル涙の告白「私は本気で彼を好きだったのに…」”


“終わった後は私に見向きもしないで去っていく彼…私の体だけが目当てだったの?!”


その週刊誌には、思わず目をそむけたくなるような言葉ばかりが並んでいた。

週刊誌の発売と同時に、またしてもテレビのワイドショーでは、ユウを批判するコメンテーターたちの声が飛び交った。

(マユの言ってた通りだ…。もう随分前の話なのに、どうして今ごろになって…?)

ひどい話題ではあるが、大なり小なり脚色はされているとしても、これはユウのしてきたことに間違いない。

レナと再会する前のユウは、相手を選ぶことなく、誘われるがままにたくさんの女性と一夜を共にしてきたのだと言っていた。

それがレナを想うあまりしたことだとは言え、やはり女性の立場からすると、ユウの行動は勝手極まりないことなのだとレナは思う。

ただ、レナが偶然耳にしてしまった、ユウと一夜を共にしたグラドルの話では、“ユウの彼女になりたい”と言ってはいたものの、ユウの容姿や体の良さばかりを誉める彼女もまた、ユウの体が目当てだったようにも聞こえた。

再会して間もない頃や付き合い始めた頃は、ユウがかつて体を重ねたことのある女性たちに密着されながら言い寄られている場面に何度も遭遇し、一体この先何度こんな思いをすればいいのかと不安になっていたレナだったが、今ではすっかりそんなこともなくなり、本当にユウがレナだけを愛して、大切にしてくれていると思っていた。

だからなおさら、何故、今頃になって?とレナは疑問に思った。

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