結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「では、野崎さんとの熱愛は?」

「ありません。」

「あの写真に関してはどうですか?」

「あれは、写真集の撮影のお仕事でご一緒させていただいて、その打ち上げが終わった後に、私の足元がふらついて倒れそうになった所を助けていただいただけです。」

「野崎さんサイドは、アリシアさんとはいい関係だとおっしゃってますが?」

「確かにいいお仕事をさせていただきましたので、仕事の上での良い関係が築けたという意味だと思います。」

(口説かれたことは伏せておこう…。)

「ユウさんとはいかがですか?お二人の熱愛が報じられてからもいろいろな記事が出ましたが…その後お二人が別れたという噂もありますが。」

「彼とは…確かに、一連の騒動がきっかけでいろいろとありましたが…今までもこれからも、私には彼しか…ユウしかいません。」

「ユウさんの女性関係についてはどう思われていますか?」

「そのことについては、確かに彼のしてきたことは良いことではないと思っていますが…どうしてそんなことをしていたのか、私はすべて承知の上で付き合っていますので、私と付き合う前のことを、とやかく言うつもりはありませんし、絶対に浮気しないと約束してくれたので、私は彼を信じています。」

「アリシアさんと須藤透さんとの婚約破棄に関してはいかがですか?」

「確かに須藤さんとは一時婚約していました。でもそれは、恋愛の延長にあった約束ではなく…保護者のような感じです。そのときはまだユウとは離れ離れで、生きているのかさえもわからなくて…。須藤さんには幼い頃からお世話になっていましたので、人見知りの私が須藤さん以外のカメラマンの方との仕事が苦手だったこともあって、私が一人になるのを心配して、ニューヨークで一緒に暮らそうと言って下さっただけなんです。わかりやすく言うと養子縁組みたいなものです。ニューヨークに行く直前にユウと10年ぶりに再会して…一度は須藤さんとの約束を守るためにニューヨークに行きましたが…幼い頃からユウを想ってきた私の気持ちを大切にして下さった須藤さんが、日本に帰って自分の手で幸せを掴めと、背中を押して下さったんです。」

レナが言葉を発するごとに、カメラのフラッシュが瞬く。

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