結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「それでは、アリシアさんの本命の方はユウさんと言うことですか?」

「本命というか…。最初から、私にはユウしかいませんよ?私は…ユウを、愛してますから。この先もずっと、彼と一緒にいることしか考えてません。」

「それではお二人の結婚は秒読みと言うことでよろしいですか?」

「いえ…。それは…まだそんな話はしたことがないので…。でも、彼が望んでくれるのであれば、私は…ずっと、彼の…ユウの隣で、彼を支えて生きて行きたいと思ってます。」

堂々と言い切るレナの姿に、報道陣が言葉をなくした。

「今の私に話せるのは、これがすべてです。これで、わかっていただけましたか?」

レナが報道陣に深くお辞儀をして立ち去ろうとした時、一人のリポーターが大きな声でレナに問い掛けた。

「アリシアさん!最後に…今、幸せですか?」

レナはその言葉を聞くと、穏やかに微笑んだ。

「ハイ…とっても。」

レナは報道陣に背を向け、その場を後にした。

(私にできることは全部した…。)


控え室に戻ると、緊張の糸が切れたように急に力が抜けて、レナはへなへなとその場に座り込む。

(はぁ…緊張した…。あんな人前で、ユウを愛してますなんて…考えたらものすごく大胆な発言だった…。)

レナは先程の自分の発言を思い出した途端に顔を赤くして、火照った頬を手であおぐ。

「レナ。」

リサが控え室のドアを開けてレナに近付いて来て、レナをギュッと抱きしめた。

「ショー、素敵だったわよ。さっきのインタビューも、堂々としてかっこよかった。」

「うん…ありがと…。でも、ショーに出るのはこれが最初で最後だよ?」

「ハイハイ。」

リサはレナの頭を優しく撫でる。

「あんなに人見知りで人前に出るのが苦手だったレナがね…あんなに大勢の人の前で、こんなに堂々として…。大切な人のためなら、レナはこんなにも強くなれるのね…。」

「ショーに出たのは、リサのためだよ。」

「ありがとう…。」

リサはレナを抱きしめながら、目に涙を浮かべた。

「いい娘を持って、私は幸せよ。」


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