結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
ユウは、病室のテレビでレナのインタビューを見て呆然としていた。

「すげーな、レナちゃん…。」

「うん…。」

(レナ、かっこ良すぎるだろ…。)

レナが“ユウを愛してますから”“最初から私には彼しかいませんよ”と、堂々と言い切ってくれたことが、ユウには嬉しかった。

(ホントにまっすぐだな…。)

“彼が望んでくれるなら、私はユウと一緒に生きて行きたい”と、レナは言ってくれた。

こんなどうしようもない自分を、隣で支えて行きたいと、言ってくれた。

(オレも、この先もずっと、レナと生きて行きたい…。レナを支えて、守って行きたい…。)

何度も交わしたはずの“ずっと一緒にいよう”と言う言葉とは、また違う。

誰よりもそばで、レナを愛し続けたい。

“どんなことも二人ならきっと乗り越えられるよ。”

レナが言ってくれた言葉が、またユウの心を温かく満たしてくれる。

(オレ…レナを、幸せにしたい…。)



ブライダルファッションショーを無事に終えたレナは、カメラマンの仕事に復帰した。

ワイドショーでは、ファッションショーの後のレナのインタビューが取り上げられ、また違った騒ぎを見せていた。

(結局は取り上げられるのね…。)

でも、以前の心ない記事とは違い、今回はレナ自身の言葉が世間に広まり、妙な誤解を招くことはなかった。

(本当のことしか言ってないからね。ちょっと清々しいかも…。)


レナはユウが退院するまで、リサのマンションで暮らすことにした。

相変わらずリサは多忙だったが、親子で過ごせる貴重な時間を大事にしたいと思ったからだ。

日本での仕事を終えた直子は、ファッションショーを見た後、レナに“ユウをよろしくね”と言い残してドイツへ帰って行った。

いつか、愛するユウの母が、自分にとって大切な二人目の母親になる日がくればいいなとレナは思った。


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