結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
そして数日後。

ユウの記事に載っていた涙の告白をしたグラドルがアヤであることが、世間に知れ渡ることになる。

その男遊びの激しさや愛人として事務所の社長に囲われていること、ユウに選ばれなかった恨みをユウとレナにぶつけ、別れさせるために一連の騒動を企てたことなどが、ユウとレナの記事を掲載した週刊誌とは、別の週刊誌に掲載された。


更に、ユウが事故にあった時にレナがショーで着るためのウエディングドレスを着て病院に駆け付け、涙ながらにユウの手を握り、意識が戻るのを祈っていたこと。

幼なじみだった幼い頃から二人が想いを寄せあって来たこと。

10年もの長い間、音沙汰のなかったユウのことをレナが一途に待ち続けたこと。

一度は諦めようとした初恋が実を結んで付き合い始めたことなど、ユウとレナの純愛を綴った記事が、レナのインタビューの内容と共に掲載された。


(私とユウのことまで…。一体、どこでこんなこと調べるの?!)

発売元を見て、レナは唖然とした。

(これ…マユの勤め先の出版社!!)

レナは週刊誌を手に苦笑いを浮かべる。

(マユが私たちのためにしてくれたことなら…ちょっと恥ずかしいけど、それもまた良しとするかな…。)

レナは、本当にいい友達を持ったと心からマユに感謝した。

(私はたくさんの大切な人たちに支えられて生きてるんだな…。)



マユが編集長を務める女性向けファッション情報誌でも、先日のブライダルファッションショーの記事が掲載された。

その中でも、レナのウエディングドレス姿はダントツの評判だった。

誌面を飾る自分のウエディングドレス姿に、レナには少しの照れ臭さと複雑な思いがあった。

(ウエディングドレスは…これが最初で最後かも知れないな…。)



ファッションショーとインタビューを終えた後、ユウは、テレビで見てたよと言ってくれた。

とてもキレイだったとも言ってくれた。

でも、自分の隣でウエディングドレスを着て欲しいとは、言ってくれなかった。

(仕方ないかな…。こればっかりは、相手あってのことだもんね…。)

それでも、インタビューでレナが語ったユウへの想いは、ほんの少しだけでもユウの心に届いたのかも知れない。

嘘偽りのないユウへの想いが、いつかユウの心の深い所へ届くといいなとレナは思った。



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