結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
レナが作った焼きそばで昼食を済ませた後、コーヒーを飲みながら、ユウとレナは久し振りに二人でソファーに並んで座り、のんびりと寛いだ。

「久し振りだね、こういうの。」

「うん。」

ユウはレナを抱き寄せ、艶やかな髪に顔をうずめる。

「レナとこうしてるの、本当に幸せだな…。」

「私も、ユウと一緒にいられて幸せだよ。」

「うん…。いろいろごめんな…。」

「ん…もういいよ。私はユウが隣にいて、笑ってくれたら、それだけでいいの。もちろん…楽しいことばっかりじゃないとは思うけど…つらい時も、苦しい時も、私は一緒にいるよ?」

「ありがとう…。」

レナの優しさやまっすぐな気持ちが、ユウの心を温かく満たしてくれる。

「レナ…愛してる…。これからもずっと、オレのそばにいて…。」

「うん…。私も、愛してる…。これからもずっと、ユウのそばにいさせてね。」

「うん…。もう、絶対に離さないから…。」

ユウは、レナの頬にそっとくちづけた。

そして、レナをギュッと抱きしめて、静かに呟く。

「レナに…話しておきたいことがある…。」

「ん…何?」

ユウはレナを抱きしめたまま話し始める。

「入院中におふくろが見舞いに来て、オレの両親のこと…レナに話したって聞いた…。」

「うん…。」

「オレは、実の母親に、捨てられたんだ。」

レナを抱きしめるユウの手に力がこもる。

「母親はオレを産んだくせにオレのことは愛せなかった…。オレとオヤジを捨てて、新しい男の所へ行った…。」

「ユウ…。」

「週刊誌の記事を見てレナに新しい恋人ができたと勘違いして、レナも母親と同じようにオレを捨てて新しい恋人の所に行くんだと思ったら苦しくて、つらくて、胸が痛くて、うまく息もできなくて…気がついたら、レナにあんなひどいことして…心にもないひどいこと言ってた…。オレは、愛してるって言いながら…レナを信じられなかったんだ…。」

苦しげに絞り出すように話すユウの声が震えていた。

「うん…。」

「昔からずっと、レナに嫌われるのが怖かった。レナを失うのが怖かった…。レナに拒まれて傷付くのが怖くて、オレは何度もレナを傷付けて…レナを傷付けてしまった自分が許せなくて苦しくて…逃げ出して…。レナはオレのことずっと信じてくれたのに、オレは、レナを…!!」


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