結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
冬物の洋服をしばらく見た後、二人はすぐ近くのファーストフード店に入ることにした。

お昼時を少し過ぎていたこともあり、店内は遅い昼食を楽しむ人や、昼下がりのお茶の時間を楽しむ人たちがゆっくりと過ごしていた。

「少し遅くなったけど、お昼ご飯にしよ。」

「うん、腹減った。」

二人はお気に入りのハンバーガーのセットを注文した。

レナが商品の乗ったトレイを持って席に向かう。

背が高く目立つ二人はどこに行っても人目を引き、二人を見た周囲の人の声が、思いのほか耳に入ってくる。

高校生くらいの女の子が数人で、ユウとレナを見ながらヒソヒソ話と言うには大きすぎる声で話している。

「あれって、ユウとアリシアだよね?」

「こんな店にも来るんだ。」

「意外と庶民的?」

「一緒にいるってことは、二人はすっごいラブラブだって本当なんだね。」

「ね、あの二人、結婚すんのかな?」

「あのショー見た?アリシア、超キレイだったじゃん!!私が男なら今すぐ嫁にしたい!!ソッコー結婚だよ。」

「何それー!オトコマエ過ぎるんだけど!!」

「ハネムーンベビーは間違いない。」

「ハネムーンベビーって!!超ウケるんですけど!!」

(オトコマエなお嬢ちゃん…しっかり聞こえてるから…。)

ユウがやけに元気のいい女子たちに圧倒されながらちらりとレナの顔を見ると、レナは真っ赤な顔でうつむいていた。

(めちゃくちゃ恥ずかしがってるよ…。)

「レナ、大丈夫?」

「あっ、うん…。」

二人は気を取り直して、ハンバーガーを食べ始めた。

「ハンバーガー、久し振りに食べるね。」

「うん。前はよく食べたけどな。最近はいつもレナが飯作ってくれるから、ファーストフードとか滅多に食べなくなった。」

「作んない方がいい?」

「えっ?!それは嫌だ。レナの料理がいい。」

「ホント?」

「ホント。」

二人がにこやかに他愛もない話をしながらハンバーガーを食べていると、さっきの女子たちが聞き耳を立てるように二人の様子を窺っていることにユウは気付いた。

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