結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
ユウはマネージャーの運転する迎えの車で、事務所へと出掛けて行った。

一人部屋に残されたレナは、カーテンの隙間からそっとマンションの外を覗く。

「何これ…。」

たくさんの報道陣が詰めかけ、辺りは騒然としている。

(とてもじゃないけど、外になんて出られないよ…。)

レナは、一人出掛けて行ったユウが心配になってため息をついた。

(ユウ…怒られちゃうのかな…?もし、別れろとか言われたらどうしよう?)

つけっぱなしのテレビからは、飽きもせず二人の熱愛を報じる声が聞こえる。

(でも…ユウが言ってたように、私たち一緒にいてやましいことなんてないし…。)

レナの不安を煽るように熱愛を捲し立てるコメンテーターの声が耳障りになったレナは、ため息をつきながらテレビを消した。

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