結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「オマエら、やっとくっついたんだな。」

「えっ?!」

「オマエら、高校の時すげー仲良しだったじゃん?付き合ってないのが不思議だったんだよな。」

「そうかな…。」

「ユウは高梨のことめちゃくちゃ好きだったじゃん。言わなくても見てたらわかったし。」

「まぁ…。」

ユウはサトシの言葉に照れて真っ赤になる。

「この間の熱愛やらの騒動には驚いた。」

「もう、そのことは言わないでくれ…。」

「で、いつ結婚すんだ?」

「ええっ?!」

ユウは頭をかきながら、視線をさまよわせた。

「まだ…そういう話はしてない…。」

「なんで?」

サトシはこともなげにそう言うと、ユウの背中をバシンと叩く。

「結婚なんて、勢いとタイミングが大事だぞ?オレ、大学出てすぐ結婚したんだ。」

「そうなのか?!」

「その時を逃したらもう、次はいつになるかわからないと思ったから。」

「オマエ、すげーな…。」

ユウがサトシと話していると、レナがレジを済ませて戻って来た。

ベビーカーに乗せられていた赤ちゃんがぐずり始め、奥さんが優しく抱き上げる。

「ユイの妹。亜衣ちゃん。かわいいでしょ?」

ユイが自慢げにユウとレナに言う。

「かわいいね。アイちゃんって言うんだ。」

レナは奥さんに抱かれるアイの顔を覗き込む。

「何ヵ月ですか?」

「3ヶ月です。」

レナがそっと頭を撫でると、アイはニッコリと笑う。

「アリシアちゃん、アイちゃんだっこしてあげて。すごく柔らかくてあったかいよ。」

「えっ…。」

レナは窺うように奥さんの方を見る。

「良かったらだっこしてやって下さい。」

「いいんですか?」

「ええ、どうぞ。」

レナは奥さんの手からアイを渡されると、おそるおそるだっこする。

「ホントだね…すごく柔らかくてあったかい。かわいいね。」

小さな赤ちゃんを優しく抱くレナを見て、ユウの胸がキュッと音を立てる。

(なんだ…?!この感じ…。)

「何見とれてんだよ。」

「えっ…。」

サトシに脇腹をつつかれ、ユウは照れて咳払いをした。

「ホントにユウは変わんねぇな。高梨にベタ惚れ。高梨にだけは超甘いし、どんなに遠くにいてもすぐ気付くし。」

「オイ…!!」

ユウは真っ赤になりながらサトシを睨む。

レナもアイを抱きながら、サトシの言葉に真っ赤になった。

「あなたったら…。」

奥さんが優しくサトシをたしなめる。



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