結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──
「最近、いろいろ考えてた…。レナと一緒にいられたらいいやって、結婚なんて考えたこともなかったけど…いろんな人に、いつ結婚するんだとか、結婚してレナを早く幸せにしてやれって言われたりして…。結婚の定義ってなんだろうとか…。」

レナはユウの言葉をただ黙って聞いている。

(何も言ってくれないと、余計に不安になるんだけど…。)

ユウがレナの言葉を待っていると、レナはユウの体をギュッと抱きしめた。

「ユウ、無理してない?」

「えっ?!」

思いがけないレナの言葉に、ユウは驚いてレナの目を見る。

「周りの人にどう言われも…答えを出すのは、私たちだよ。焦らなくても大丈夫…。ユウが周りの人たちからいろいろ言われて不安になってるのに…私は何も言えないよ…。」

「でも…オレは、レナとだったらその答えを…結婚ってなんなのかって答えを、一緒に見つけられる気がするんだ…。」

「うん…。」

「オレとじゃ不安?」

「そんなわけないよ…。」

「オレは…この先もずっとレナと一緒に生きて行きたい。レナを一生守って幸せにするのは絶対にオレでありたいし…結婚するなら相手はレナしか考えられない。オレにはレナしかいない。絶対、レナを誰にも渡したくない。だから…。」

ユウはレナの目をじっと見つめた。

頭で考えるより先に、ユウの口から自然とその言葉がこぼれた。

「レナ…オレの、お嫁さんになって下さい。」

思いがけないユウのプロポーズにレナは驚き、やがてポロポロと大粒の涙をこぼした。

「ハイ…。」

ユウは両手でレナの頬をそっと包む。

「そんなに泣くなよ…。」

「だって…嬉しくて…。」

ユウは親指でレナの涙を拭い、涙で濡れた頬に口付けた。

「オレの隣で、ウエディングドレス着て歩いてくれる?」

「うん…。」

「レナ…愛してる…。大切にするから…ずっと一緒に生きて行こう。絶対、レナを幸せにする。」

「うん…。私も、ユウを幸せにする。」

そして二人はそっと唇を重ねた。

(そっか…。言葉にして伝えるって、こんなに簡単なことだったんだ…。オレは一生かけてレナを愛して幸せにする。それが、オレの結婚の定義なんだ…。)

ユウは閉ざしていた心の扉を開いて、新たな一歩を踏み出した気がした。

「オレ、レナとならなんでも乗り越えられそうな気がする。」

「うん。二人一緒なら大丈夫だよ。」

「思いきって踏み出したら、ひとつ答えが見つかった。」

「何?」

「オレの、結婚の定義…。オレの一生かけて、レナを愛して幸せにすること。」

「私も…一生ユウを愛して幸せにする。どんな時も、ずっとそばで、ユウを支えていく。」

「うん…。ずっと一緒にいような。」



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