岡本くんの愛し方








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*

「…ちーひろくんっ!」




「何?」




食器も洗い終わってソファで本を読んでる千尋くんの隣に座る。




「あの…付き合ったじゃないですか」




うわぁ、口に出すと恥ずかしすぎる…っ




「うん、そうだね」




相変わらず視線は本のままだけど、
どちらかというとそっちの方が私的にも安心する。




「それで、連絡先交換したいな〜なんて…」




横目でチラッと千尋くんを見ると、
千尋くんも私の方を見ててすぐに逸らしてしまった。




「……珍しい」




「え?何が?」




「いや、なんでもない…。
連絡先でしょ、いいよ」




ポケットから携帯を取り出して電話番号だけ交換する。




…ん?電話番号だけ?




「千尋くん、メールアドレスとかは?」




「俺的には不必要だと思ってるんだけど」




「えぇ!?」




なんでなんで!?
メールなんて現代社会においてひとつのコミュニケーションツールであって(以下略)




「前にも言ったよね、文章なんて作れるって」




言ってたね…。
千尋くんのことを知らない人がメールで
〝やっほー☆〟ってやられたら
千尋くんを明るい人だと思うっていう。




「それと一緒だよ。
文章で〝大丈夫だよ!〟なんて言ったって、
本心じゃない可能性があるでしょ?
すずはやりそうだし。」




…………もしかして、私の事考えてくれてるの?









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