岡本くんの愛し方
連れてこられたのはなんと空き教室。
しかもここ…私が泣いてた日に駆け込もうとした所…。
「ここで初めてすずちゃんと出会ったんだよ」
すずちゃんは知らなかっただろうけど、
と笑いながら付け足す園田先輩。
「…さて、と。
それじゃあ、とりあえず返事貰っていいかな?」
分からないけど…なんか園田先輩の表情は笑っているのに笑っていない気がした。
「……あの、私今まで恋した事なくて、
恋がなんなのか分からなくて、
園田先輩にドキドキする場面もありました。
でも、そのドキドキと…別の人とのドキドキが違うということが引っかかってて…」
園田先輩は静かに私の話を聞いててくれる。
心が痛いけど、園田先輩はきっともっと痛いはずだから。
「なんで違うんだろう?って夏休み中何度も考えてたことがありました。
でも、ある日その人とケンカした時に気づいたんです。園田先輩のドキドキは恋じゃない。この人に対してのドキドキが恋なんだ。って…」
私は一度大きく息を吸った。
「…ごめんなさい!
気持ちはとても嬉しかったです。
でも、好きな人がいるので気持ちにはお応えできません!」
そう言って深く頭を下げる。
本当に、気持ちは嬉しい。
私なんかを好きになってくれるなんて…。
でも、こういうのはハッキリさせるのが
相手の為でも自分の為でもある、って雅ちゃんにそう教えてもらったから。
だから、私は素直に伝えます。