私はその日を知らない
羅列した文字の中に
人々の口からほとばしるナイフを含んだ言葉の中に
誰かの掌から発信されるメッセージの中に
その日は色あせ姿を失いつつある
若い芽たちはそれを知らない
知ろうとしないのだ
過ぎ去ったこととしてしか受け取らない
常日頃から向き合おうとしない
痛みを知らないから
分かるすべがないから
しわの刻まれた細いその手を掴んでも
そこにあった悲惨を見ることは叶わない
小さな液晶に映し出されても
その枠の外側にころがるその日を見ることはできない
色彩の乏しい画を手元に持っても
そこに写る口から溢れる悲鳴を聞くことはできない