その瞳に映りませんように


「へー! 付き合うことになったんだ! おめでとー!」


「ハシノが来なかったおかげだよー! 風邪ひいてくれて本当ありがとう、とか言ってみちゃったりしてー」

「うわーそれひどい! おめー調子乗りすぎー!」


「あははー! あ、私数学の宿題まだ途中だったから先戻るねー」


月曜日の昼休み。

何となく私はトイレでの女子会議を早退し、1人で教室に戻った。


どうやら、私の代打で参加した男子と、友達の1人が付き合い始めたようだ。


やっぱり。

私が行かなかったから上手くいったんだ。


だったらもとから私のこと誘わなきゃいいのに……。


ちょっとだけ、複雑な気持ちになる。


――いやいやいや!


うん。私のおかげなんだ。

私、キューピッドじゃん。天使じゃん。エンジェルじゃん。金なら1枚、銀なら5枚でおもちゃのカンヅメゲットじゃん!


無理やり心の中でテンションを上げながら、教室に戻った。


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