その瞳に映りませんように
「でさーその時ー」
「うっそー、それマジウケるしー」
いつもの友達と、他愛もない話でゲラゲラ笑いながら、お弁当を口にする。
私もきっとクラスの中では普通の存在で、
普通に友達がいて、普通に彼氏がいたりいなかったりする(今はいないけど)。
「ねー土曜さー買い物行かないー?」
「いいねー! あたしアウトレット行きたーい」
「うちも賛成ー! ハシノはー?」
「うーん。あ……いーんじゃない? 行こ行こー!」
「じゃー決まりー!」
ちなみにハシノが私。
本当はららぽに行きたかったんだけど。まあいっか。
気の合う友達みんなで、毎日楽しく仲良く生活する日々。
時々、ちょっとだけ疲れるけど、別にこれが普通なんだと思うし特に不満もない。
昼休みが終わるチャイムが鳴るとともに、自分の席に戻る。
ユズキくんは得意の3割閉じの目で、スマホの画面を眺めていた。
二重の線を残した上まぶたによって、瞳が半分隠れている。
眠そうというかダルそうというか。
うん、今日もいい感じ。
密かにその目を見ている事がバレないように、
半円を描くように視界を動かしてから、席についた。