その瞳に映りませんようにのレビュー一覧
読後感がすごくいいんです。 ふわあって体の中のイヤなものが抜けて、なんだかとても柔らかいもので胸がいっぱいになって、読んでよかったって心から思う。 そんなとっても素敵な読後の余韻を味わえます。 学生時代特有の、些細だけどとても重要な、いろんな悩みとか心の動き。 友達に対する、異性に対する、自分に対するその様々な葛藤があまりにも真っ直ぐ、等身大で描かれているから、どうしようもなく引き込まれるし、どうしようもなく二人のことが好きになる。 タイトルの意味を考えながら丁寧に読んで頂きたいです。 おすすめの一作、ぜひご一読を。
目の描写に過不足がなく、人物の言葉や動きの描写もとても丁寧です。 主人公がユズキくんの目に惹かれる本当の理由に気づくラスト10ページは心を打たれます。 作者の洗練された綺麗な文章に心が清らかになります。 ぜひ読んでみてください。
「その瞳に映りませんように」 「私」はユズキくんの瞳が好き。 でも、映りたくない。 それはどうしてなんだろう? その答えはなかなか明かされない。 ユズキくんの目の描写が、山田詠美さんの文章を彷彿とさせる。 鋭い観察眼を感じさせる透明な文章。 引き込まれながら読んでいくと、少しずつ二人の距離が縮まっていく。 でも、「私」はユズキくんの瞳に映りたくない。 クライマックスでその謎が明かされる。 そして、最終ページの最後の最後で、「その瞳に映りませんように」というタイトルに秘められた仕掛けがすとんと落ちてくる。 タイトルのつけ方、その扱い方が素晴らしい。 ぜひご一読を。
この世は誰が思うより、 細く短い糸で成り立っている。 そんな世界には興味が無いかのように、 空を見上げる君にも“綺麗”と 思えるものはあったんです。 切れかけた糸を目にしたとき、 ふと君と二人見上げた夕日。 貴方の瞳に映るのは、 どこと無くつまらなそうな 私の瞳だった。 君の目に惹かれていた。 それはきっと、私と似た君が 堂々と自分を曝け出していたから。 感動しても瞳はつまらなそう。 笑っていても心はつまらない。 二人は細く短い糸で成り立ってる、 この世で繋がった最も深い糸。