わたしのイトリくん
それは偶然の
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「ぷっ!ヒイロ、その顔どうしたのよ?」

遅刻寸前で出社した私の顔を見るなり毒を吐いたのは
同僚であり、親友でもある茅原奈江(かやはら なえ)。



「もう私、ダメかも...」

奈江の顔を見たらうっかり弱音を吐いてしまう。

「あんた、あのメガネ君が居ないと私生活ダメダメだもんねぇ」


今のあんたの姿見せてあげたい、なんて笑いながら肩を叩いてくる。



「でもほんと家に帰って来てないの?」

「うーん、多分、ね。」

奈江の顔を見上げ、首を横に振る。



私たちは、若くしてデザイン事務所を立ち上げた社長のもとで働いている。


仕事柄、帰る時間も不規則で
家に着くのが深夜になる時もあれば、早い時もある。


この一ヶ月何度かイトリくんの部屋のインターホンを押したが、何の反応もなかった。
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