わたしのイトリくん
店内に足を踏み入れると、
私に気が付いた女性がこちらに向かってやってくる。
「あれー?!ヒイロちゃんじゃない!
久しぶりねぇ!」
オーナーである美咲さんが驚いた顔で手を振る。
「ほんとご無沙汰してます」
「もー!来てくれて嬉しいわ!
さ、いつものカウンター空いてるから座ってちょうだい!」
「あ、はい!」
40代には到底見えない美咲さんの綺麗な笑顔が見れて、自然と顔が綻ぶ。
「元気そうで良かったわ〜。相変わらず綺麗なんだもの。」
「もう、その言葉美咲さんにそっくりそのままお返ししますよ!」
「ふふ、でもヒイロちゃん痩せたんじゃない?ちゃんと食べなきゃだめよ!
今日はたくさん食べて行ってね?はい、ここに座って。それとメニューね!」
「あ、はい!ありがとうございます!」
慌ててメニューを受け取ると、美咲さんは笑ってキッチンのほうに戻って行った。