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第1章
始まりの終わり
「楠木、20点」
教卓の前に堂々と立ち、
担任の新沼(にいぬま)は俺に紙を手渡した。
もちろんただの紙ではない。
成績と自身の将来に関わる紙なわけで。
紙には赤いインクでこれ見よがしに
大きく"20"と書かれていた。
それはある意味、俺に対する死刑宣告だ。
「ちょっ、コレありえねーっしょ!ゼッテェ採点ミスありますって!」
叫ぶに等しい声量で言い放ったつもりだったが
目の前の新沼は微動だにもしない。
背後でクラスメートの小さい笑い声がした。
新沼は後ろ髪を乱暴に掻き
元々グシャグシャな髪を更にグシャグシャにして言った。
「うるせーな、テストの点数悪ィからって騒いでんじゃねーっつーの」
とても教師が言うに許される発言とは思えないが
これも不思議ともう慣れた。
しかし売り言葉を言われたら買い言葉を言うのが俺の絶対的ポリシー。